『ニューヨークのとけない魔法』岡田光世

すごくいいシリーズと出会えた。

 

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『ニューヨークのとけない魔法』岡田光世

世界一お節介で、図々しくておしゃべりで、孤独な人たち。でも、泣きたくなるほど温かい。ベストセラー「ニューヨークの魔法」シリーズ、第1弾! 東京と同じ孤独な大都会なのに、ニューヨークは人と人の心が触れ合う瞬間に満ちている。みんな切なくて人恋しくて、でも温かいユーモアを忘れない。個性的すぎる人々に笑い、泣いたあと、無性にニューヨークに行きたくなる本です。(Amazonより)

 

なにかでピックアップされてて気になり試しに購入。

ずっと風呂入りながら読んでたんだけど、各エピソードの文量もテンションもちょうどよくてすぐ読み終わった。

筆者が体験したり聞いた、ニューヨーカーたちの悲喜こもごもなエピソードが魅力的で、しかもそれを基本的にカラッとした雰囲気で書き上げてるから悲しかったりネガティブな場面もそういうときもあるよねって感じで読める。

出てくる登場人物の強烈さ、ユーモア、おかしみ全てまるっと含めて憎めない感じがしてすごく良かった。

またその出会いや経験の機会っていうのはニューヨークだから、英語を話せるからってことだけでもないことも教えてくれる。

 

英語を知っていてよかった、と私は心から思う。そのおかげで、世界は何倍にも広がった。だが、英語がうまく話せなくても、心が柔軟であることが何よりも世界を広げてくれる。

 

個人的に海外旅行とかはしたことはないんだけど、やっぱり英語って勉強していきたいなとモチベーションが上がり、TOEICまた受けてみることにしました。

とりあえず今年中にシリーズ全部読む。

 

 

 

 

 

『ばにらさま』山本文緒

これからもずっと作品を読みたかった。

 

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『ばにらさま』山本文緒

冴えない僕の初めての恋人は、バニラアイスみたいに白くて冷たい

日常の風景が一転! 思わず二度読み!
痛くて、切なくて、引きずり込まれる……。
6つの物語が照らしだす光と闇

島清恋愛文学賞本屋大賞ノミネート『自転しながら公転する』の山本文緒最新作!
伝説の直木賞受賞作『プラナリア』に匹敵るす吸引力! これぞ短編の醍醐味!(Amazonより)

 

大好きな『自転しながら公転する』では、地方在住アラサーのリアルな人生の迷い方に共感を覚えたけど、今作は著者の仕掛けや展開にまんまと錯覚させられ驚くことばかりだった。

表題作の『ばにらさま』も予想していなかったオチで、立ち込めていた虚しさが倍増していて面白いんだけど、なんと言っても『わたしは大丈夫』が格別に好きだった。

ちょっとずつ感じる、でも立ち止まって読み返すほどではないかすかな違和感が一気に繋がってぶわって回収されていくあの快感と一種の悔しさは最高の読後感だった。またそれによって哀れみみたいなものも更に濃くなっていく。

その後もその回収の見事さやゾクッとする感じは楽しめるんだけど、個人的には最後の『子供おばさん』は他人事ではないリアルさがあった。

私は週に五日仕事にゆき、休日は犬の散歩と買いだしをし、夜は友人や家族と食事をしたり、風呂の中で推理小説を読んだりする。日常に倦むこはない。

何も成し遂げた実感のないまま、何もかも中途半端のまま、大人になりきれず、幼稚さと身勝手さが抜けることのないまま。確実に死ぬ日まで。

それまで短編らしい展開とスパッとした切れ味を楽しんでいたのに、ラストでこれでもかと現実的な重みを突きつけられた感じがした。

ふたつの面白さを感じられる快作で、これからもずっと著作を読みたかった。過去の作品も辿って読んでいきたい。

 

 

 

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『コロナの時代の僕ら』パオロ・ジョルダーノ

あとがきが特に好きだった。

 

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『コロナの時代の僕ら』パオロ・ジョルダーノ

僕たちは、感染症の科学について何を知っている必要があり、今まさに訪れようとしている「コロナの時代」をどう生きるべきなのだろうか?
200万部のベストセラーと物理学の博士号をもつイタリアの小説家による、緊急事態宣言下の日本の人々への示唆に満ちた傑作エッセイ。
日本語版には、後日談となるあとがきを特別掲載。(Amazonより)

 

ちょっと読むの遅いかなとも思ったけど、コロナ禍での即時性を超える普遍的に大切なことが綴られていた。

改めて思い返すと、誰も想像していなかったこんな世界になってもう2年が経とうとしていて、その中で外国の当初の様子を知るのはいい機会だった。当時の人々の不安感や、侮り方、他国に対する差別など、今となってはある程度冷静に考えられることに対する混沌とした様子は、もちろん日本でも当てはまっていたんだなとも考えさせられる。

その中で著者は、自身のフィールドである数学的な思考方法で、未曾有の状況に立ち臨もうとしていた。

「R0(基本的再生産数)を下げることこそ我慢の数学的意義」など、対策と期待できる効果を論理的に考えていた。

また、偏見や言葉の使い方で取るべき行動や考え方が歪められていることに対しても、事実や今までの人類の道のりと照らし合わせて、あくまでニュートラルに捉えようとしている。

しかしそれだけではなく、この作品の中にはコロナ禍という特殊な状況だからこそ、自分たちの生活を一度立ち止まって振り返ることの重要性も説いている。

それは著者あとがきに「コロナウイルスがすぎたあとも、僕が忘れたくないこと」として記されている。

もしも、僕たちがあえて今から、もとに戻ってほしくないことについて考えない限りは、そうなってしまうはずだ。まずはめいめいが自分のために、そしていつかは一緒に考えてみよう。僕にはどうしたらこの非人道的な資本主義をもう少し優しいシステムにできるのかも、経済システムがどうすれば変化するのかも、人間が環境とのつきあい方をどう変えるべきなのかもわからない。実のところ、自分の行動を変える自信すらない。でも、これだけは断言できる。まずは進んで考えてみなければ、そうした物事はひとつとして実現できない。

 

大きな問題について難しく提言するのではなく、勇気あるシンプルさと明快さと客観的な視点で、読み手に大事なことを深く教えてくれる名作。

コロナが終息したとしても、読み返して次の「まさかの事態」に備えたい。

 

 

 

 

 

『ランチ酒』原田ひ香

早くテレビ東京でドラマ化してください。

 

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『ランチ酒』原田ひ香

犬森祥子の職業は「見守り屋」だ。営業時間は夜から朝まで。ワケありの客から依頼が入ると、人やペットなど、とにかく頼まれたものを寝ずの番で見守る。そんな祥子の唯一の贅沢は、仕事を終えた後の晩酌ならぬ「ランチ酒」。孤独を抱えて生きる客に思いを馳せ、離れて暮らす娘の幸せを願いながら、つかの間、最高のランチと酒に癒される。すれ違いのステーキとサングリア、怒りのから揚げ丼とハイボール、懐かしのオムライスと日本酒、別れの予感のアジフライと生ビール…今日も昼どき、最高のランチと至福の一杯!心を癒し、胃袋を刺激する絶品小説。(Amazonより)

 

まずなによりもタイトルが良い。昼飲みとかじゃなくてあくまで「ランチ」ありきの酒。ここの塩梅で物語のアルコールへの依存度というか、どのような存在なのかが示されている気がする。

夜中に「見守り屋」という風変わりな仕事をし、その後の一杯。各エピソードの依頼社宅でのエピソード、ランチの内容、主人公が抱える問題の進行具合、全てのバランスがすごく良かった。それぞれ悩みもあるし、朗らかな場面ばかりだけではないけど、仕事終わりの食と酒が、その人たちを労い、少しの忘却と許しを与えてくれるように感じる。

また、主人公が吹っ切れたように「仕事を頑張ろう」っと決意するところは様々なことを考え始める30歳過ぎには、なにかに力を注ぐ踏ん切りのようなものを教えてくれる。

そうだ、ずっともやもやしていた原因がわかった。自分に力がないからだ。自分がだめでただ悩むだけで、ぐだぐだと考え続けているからだ。

明里がこれからどんな選択をするかはわからない。けれど、こちらはちゃんと準備をしておこう。少なくともいざとなったら引き取れる、自信のある自分でいたい。

 

この後の登場人物それぞれのストーリーも気になるし、早くシリーズ全部読みたいし、集めよう。そしてテレビ東京ドラマ24シリーズで早くドラマ化してください。

 

 

 

 

 

2022年初売り

こちらも毎年恒例。

 

去年はこちら。今年もスタメンの2着。

 

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今年はこの3つをいつものALL MY LOVINGで。

もう寒いのお腹いっぱいなんで春早く来てください。

 

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①John Blair ニットポロ

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身幅・袖幅ゆったりだけど、丈はちょうどいい感じ。

肌触り良くてそこまで暑そうじゃないから春先にコーデュロイハーパンとかと合わせたい。5,000円弱。

 


 ②Eddie Bauer スウェット

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製品染め?ぎり伸び切ってない幅広な身幅とクタッとした雰囲気・色味に惹かれた。

キレイめにも野暮ったくにも合わせやすそう。5,000円ちょっと。

 


③L.L Bean カウチンニット

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見た目よりも軽いのとサイズ感がいいので、暖かくなったらインナーにスウェットやパーカー入れて着たい。

柄も派手すぎず好み。10,000円ちょっと。

 

 

春服みたいなのばっか買っちゃった。

本当は43,000円くらいのラルフのダッフルコートがあって、ずっと探してたざっくり着れるダッフルで、着た感じも最高だったし、めちゃくちゃ勧められたけど、今後の財布事情考えて泣く泣く断念。

でもまだ売れてないようだし、コロナのせいで1〜2月の予定も吹っ飛んだので、2月中に行っとくか…。

昔みたいにガンガン買うことはもうないけど、今年も足りなかったものや本当に欲しいものだけ集めていきたい。

 

 

 

2021年振り返りと2022年所信表明

あけましておめでとうございます。

 

新年恒例のやつ。

 

去年はこちら。

 

 

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2021年振り返り

①朝型生活

5時起きが完全に習慣化。けどその分、夜帰宅してからの時間の使い方がもったいなかった。YouTube観てちょっと読書して寝ちゃうこと多かった。

 

②運動継続

完全達成。ソフトバレーは1回しかやってないけど、ランニングとテニスでほぼ毎日なんかしらの運動をしてた。あと、バスケも開始。

でもその割には特に痩せなかったし、健康診断の数値も悪化しているから今年は食生活をもっと改善していきたい。

 

③ブログを頻繁に更新する

去年も結局ほぼ読書感想のみで、更新も週1未満だった。

今年はここをなんとか変えていきたい。

 

④金銭管理

微々たる額だけど貯金や、積立NISAの増額などでほんのちょっとは改善できた。

今年はいろいろ購入したいものや、金を回したいことが出てきそうだからもっとちゃんと取り組む。

喫煙は相変わらず一日10本未満くらいでやめられずにいる。

 
⑤資格を取る

難しそうな資格の勉強を始めたけど、生活リズムもあるのか、20代後半のときより集中できなくなってる。

あとやっぱり先が長すぎて可能性も見い出せてないから、モチベーションがなかなか上がらず。

 

⑥バスケを始める

年末まで何も稼働してなかったけど、ひょんなことから3人でまさかのチーム結成。

大学・社会人までの経験者2人とズブのド素人1人。他のチームの練習に混ざって現在週1で練習中。

まだ何もできるようになってないけど、この年齢になって未経験のことを始めて、大多数よりも不利な状況に自分を陥れるってのも貴重な経験だと感じてる。

 

 

2022年目標

①夜の時間を自分に使う

23時就寝・5時起床の朝方生活の定着により、朝に重点を置いて生活できているけど、その反面、定時で帰宅し夕飯を食べた後の時間の遣い方にムダやもったいなさを感じている。

勉強でもブログでも映画やドラマを観るとかなんでもいいんだけど、23時まではちゃんと起きて、YouTubeをダラダラ観るとかではなく、少しでも自分のために時間を費やしていきたい。

 

②食生活改善

運動面は改善と定着が図れているけど、その分食生活が以前より悪化している気がするし、月々の食費が目標より全然高い。

去年の途中からちょっと栄養の勉強したり、麦ご飯に変えて夕飯も少し米を食べるようになったけど、今年はもっと改善していきたい。

平日の食事では肉や甘い物を減らして、食費を浮かせてバランスも良くする。

休日前の晩酌では、ポテトサラダやマカロニサラダ、柿ピーとかのカロリーが高いものをなるべく避ける。

 

③読書感想以外でブログを更新する

今年こそ達成したい。

どんなことでもいいんだけど、読書以外の感想や、感想以外の文章を書けるようになりたい。

 

④やりたいことや欲しいものにお金を遣う

多少の貯金と積立をするのは大前提で、自分にとって優先順位低いもの(食事とか)への支出を削り、その分を好きなことにもっと回していきたい。

とりあえず今年中に欲しいもの

MacBook Pro

・デカイ本棚

バスケットシューズ

・テレビ

 

TOEICスコア800

ニューヨークのエッセイを読んでたら、やっぱり英語って面白そうと思い決意。資格の勉強は一旦休憩し、自分が純粋にやってみたいことを優先する。

数年前に受けた時のスコアが785だったから800超えを目標に。

コロナで開催回数が減っているけどとりあえず3月か4月受験の予定。

 

 

て感じです。

今年も一人暮らしの最高到達地点更新する。

 

 


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『この話、続けてもいいですか。』西加奈子

読み初めはこれ。

 

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『この話、続けてもいいですか。』西加奈子

 

テヘランで生まれカイロと大阪で育った著者が、小説の舞台となった大阪のこと、いろんな人との関わり、日々の生活で思ったこと、こだわること、などを縦横無尽に語る。『ミッキーかしまし』『ミッキーたくまし』をテーマ別に整理しなおし1冊にまとめた、著者唯一のエッセイ集。世界とのかかわり方、楽しみ方、その存在の強度が圧巻。小説の根っこが顔を覗かせる。(Amazonより)

 

2010年台後半から著者の作品を読み始めた身としては、小説や『まにまに』やラジオや動画で観る著者は、センスとユーモアを兼ね備え、人間を超越しているような魅力を持っている人物。

でもこのエッセイで知る西加奈子は、極めて普通で多分に下劣で、どうしようもないアラサーそのもので、しかしその全力に生ききってる日々の大小の物語が、たくさんのエネルギーを与えてくれる。

今よりも良くも悪くもいろいろなシガラミが少なかった時代に書かれているため、毒気を十二分に含み、切れ味鋭く笑いのツボをぶった切ってくるエピソードも好きだし、そんなエピソードに隠れて随所に潜んでいる美しすぎる文章も大好き。

その日は、まず、夕焼けが見事でした。太陽が見えなくなった後の十分くらい、空がピンク色に染まって、それが段々淡い橙色に変わっていく瞬間、境目が薄い紫になります。多分次の日は雨で、こんな色のスカート欲しいなぁと、私がいつも思う空です。

情景のリアルさとロマンチックさがドバドバ溢れている。

個人的にこのエッセイは、大げさだけれども神格化される前の、良くも悪くも人を超えてしまう寸前の西加奈子の物語。

 

 

 

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