2020-01-01から1年間の記事一覧

『西の魔女が死んだ』梨木香歩

今更クラシック。 『西の魔女が死んだ』梨木香歩 中学に進んでまもなく、どうしても学校へ足が向かなくなった少女まいは、季節が初夏へと移り変るひと月あまりを、西の魔女のもとで過した。西の魔女ことママのママ、つまり大好きなおばあちゃんから、まいは…

『ここは、おしまいの地』こだま

悲劇と喜劇は表裏一体。 『ここは、おしまいの地』こだま 田舎の集落で生まれ、規格外の人生観をもつ家族のもと「当たり前」すら知らずに育った著者。悪臭立ち込める新婚生活を経て、病気で無職になってからも災厄続き。それでも折れない清らかな花のような…

『塀の中の美容室』桜井美奈

ずっと気になってた作品。 『塀の中の美容室』桜井美奈 『ご』と入力すると『ゴメン』と出てきて…『ゴメン。今日も仕事でダメになった』の一文ができあがる―。激務が続く番組制作会社で働く芦原志穂。彼女は今日も恋人にデートのキャンセルを告げるメールを…

『Big Pants ~スケートボード is 素敵~』柳町唯

これも最高な一冊だった。 『Big Pants ~スケートボード is 素敵~』柳町唯 『HIDDEN CHAMPION』にて連載していた人気読み切り小説『スケートボードis素敵』の全九編を元に改稿し、新たに書き下ろした一編を加えた青春短編集『ビッグパンツ』待望の書籍化!!)…

『全部ゆるせたらいいのに』一木けい

身に刺さる物語だった。 『全部ゆるせたらいいのに』一木けい 不安で叫びそう。安心が欲しい。過剰に安心させて欲しい。なのに、願いはいつも叶わない――。家族って、幸せって一体何だろう。痛みを直視して人間を描き、強く心に突き刺さる、圧倒的引力の傑作!…

『銀河鉄道の父』門井慶喜

想像以上に良かった。 『銀河鉄道の父』門井慶喜 宮沢賢治は祖父の代から続く富裕な質屋に生まれた。家を継ぐべき長男だったが、賢治は学問の道を進み、理想を求め、創作に情熱を注いだ。勤勉、優秀な商人であり、地元の熱心な篤志家でもあった父・政次郎は…

『ワイルドサイドをほっつき歩け』ブレイディみかこ

今度はおっさんたちの英国。 『ワイルドサイドをほっつき歩け』ブレイディみかこ EU離脱、競争激化社会、緊縮財政などの大問題に立ち上がり、人生という長い旅路を行く中高年への祝福に満ちたエッセイ21編。第2章は、現代英国の世代、階級、酒事情についての…

『そして、星の輝く夜がくる』真山仁

また忘れちゃいけない物語が増えた。 『そして、星の輝く夜がくる』真山仁 東日本大震災から三年の月日をかけ紡ぎ出された希望と祈りの物語。著者自らが体験した阪神・淡路大震災。そして2011年3月11日。被災地の小学校を舞台に描かれる「六つの願い」。(Am…

『さんかく』千早茜

ずっと読みたかったやつ。最高だった。 『さんかく』千早茜 「おいしいね」を分け合えるそんな人に、出会ってしまった。古い京町家で暮らす夕香と同居することになった正和。理由は“食の趣味”が合うから。ただそれだけ。なのに、恋人の華には言えなくて…。三…

『1ミリの後悔もない、はずがない』一木けい

恋愛小説を飛び越えて人生だった。 『1ミリの後悔もない、はずがない』一木けい 「俺いま、すごくやましい気持」。ふとした瞬間にフラッシュバックしたのは、あの頃の恋。できたての喉仏が美しい桐原との時間は、わたしにとって生きる実感そのものだった。逃…

『十字架のカルテ』知念実希人

楽しさだけではなかった。 『十字架のカルテ』知念実希人 心の闇を暴くミステリーの新境地!罪を犯した本当の理由とは―精神鑑定医・影山司が繰り広げる、究極の頭脳戦。(Amazonより) ほとんどの作品を読んでるし、この作者で医療ミステリーの面白さを知った…

『あなたに会えて困った』藤崎翔

警戒しててもまた爽快に騙された。 『あなたに会えて困った』藤崎翔 善人と書いてヨシト、なのに空き巣で前科二犯の「俺」。出所早々、懲りもせずに忍び込んだ豪邸の主は、なんと初恋相手の美女マリアだった。後日、偶然を装って再会し、急速に距離を縮めて…

『笑いのカイブツ』ツチヤタカユキ

こういう息苦しい物語も大切。 『笑いのカイブツ』ツチヤタカユキ 命を削るようにネタを生み出し、圧倒的な質と量の投稿で「伝説のハガキ職人」と呼ばれた主人公。作家を志すも「人間関係不得意」のため挫折の連続。やがて死を想うようになった彼の頭の中に…

『日本再興戦略』落合陽一

初めて読んだけど、この人の文章好きだ。 『日本再興戦略』落合陽一 AI、ブロックチェーンなどテクノロジーの進化、少子高齢化、人口減少などにより、世界と日本が大きく変わりつつある。今後、世界の中で日本が再興するにはどんな戦略が必要なのか。テクノ…

『パレード』吉田修一

原作も面白かった。 『パレード』吉田修一 5人の若者の奇妙な2LDK共同生活を描いた青春小説。いつの時代も現実は厳しい。でもふさわしい自分を演じればそこは、誰もが入れる天国になる。杉本良介21歳、H大学経済学部3年。大垣内琴美23歳、無職。小窪サトル18…

『壁の男』貫井徳郎

あんな感動の結末が待っていたとは。 『壁の男』貫井徳郎 ある北関東の小さな集落で、家々の壁に描かれた、子供の落書きのような奇妙な絵。その、決して上手ではないが、鮮やかで力強い絵を描き続けている寡黙な男、伊苅(いかり)に、ノンフィクションライタ…

『逆ソクラテス』伊坂幸太郎

面白くて一気読み。 『逆ソクラテス』伊坂幸太郎 敵は、先入観。世界をひっくり返せ! 伊坂幸太郎史上、最高の読後感。デビュー20年目の真っ向勝負!(Amazonより) 作者の思春期の青少年を題材にした『サブマリン』や『砂漠』は大好きだけど、舞台を小学校…

『スケルトン・キー』道尾秀介

まんまと爽快にハマった。 『スケルトン・キー』道尾秀介 週刊誌記者のスクープ獲得の手伝いをしている僕、坂木錠也。この仕事を選んだのは、スリルのある環境に身を置いて心拍数を上げることで、自分の狂気を抑え込むことができるからだ。最近は、まともな…

『県庁おもてなし課』有川浩

今読むべき本を読めた。 『県庁おもてなし課』有川浩 とある県庁に生まれた新部署「おもてなし課」。若手職員の掛水史貴は、地方振興企画の手始めに地元出身の人気作家・吉門に観光特使を依頼する。が、吉門からは矢継ぎ早に駄目出しの嵐―どうすれば「お役所…

『置かれた場所で咲きなさい』渡部和子

ずっと貸してて読んでなかったやつ。 『置かれた場所で咲きなさい』渡部和子 置かれたところこそが、今のあなたの居場所なのです。時間の使い方は、そのままいのちの使い方です。自らが咲く努力を忘れてはなりません。雨の日、風の日、どうしても咲けないと…

『イマジン?』有川ひろ

やっぱりこの作者は面白いし、集大成のような作品。 『イマジン?』有川ひろ 走るしか能のない新米突っ走る!行き先は、たぶん未来。(Amazonより) 仕事を行う上での、他者や一歩先への想像力の大切さを学ばせてくれる。 各々のサイドストーリーはわりとベタ…

『雲を紡ぐ』伊吹有喜

やっぱりこの人の話は沁みる。 『雲を紡ぐ』伊吹有喜 壊れかけた家族は、もう一度、ひとつになれるのか?羊毛を手仕事で染め、紡ぎ、織りあげられた「時を越える布」ホームスパンをめぐる親子三代の心の糸の物語。(Amazonより) 職人の厳しさと手仕事と田舎…

『ママ』神津凛子

デビュー作『スイート・マイホーム』で慄かされまくった作者の二作目。 『ママ』神津凛子 「わたし」は、事故で彼を失った直後に妊娠していたことを知り、女手一つで娘のひかりを育ててきた。娘を保育園に預け、スーパーで惣菜作りを続ける日々。身寄りも、…

『線は、僕を描く』砥上裕將

新たな世界との出会い。 『線は、僕を描く』砥上裕將 水墨画という「線」の芸術が、深い悲しみの中に生きる「僕」を救う。第59回メフィスト賞受賞作。(Amazonより) 冒頭の西濱との出会い。喫煙所でのゆったりとしたやり取りの中で、本質を訥々と語っている…

『ケーキの切れない非行少年たち』宮口幸治

ぼんやり認識していたことを知るいい機会だった。 『ケーキの切れない非行少年たち』宮口幸治 児童精神科医である筆者は、多くの非行少年たちと出会う中で、「反省以前の子ども」が沢山いるという事実に気づく。少年院には、認知力が弱く、「ケーキを等分に…

『medium(メディウム) 霊媒探偵城塚翡翠』相沢沙呼

噂というかもはや面白いという評判しか届かなかったので遅ればせながら。 『medium 霊媒探偵城塚翡翠』相沢沙呼 推理作家として難事件を解決してきた香月史郎は、心に傷を負った女性、城塚翡翠と出逢う。彼女は霊媒であり、死者の言葉を伝えることができる。…

『巴里マカロンの謎』米澤穂信

マイマスター、11年ぶり待望のシリーズ最新作。 『巴里マカロンの謎』米澤穂信 ここにあるべきではない四番目のマカロンの謎、マスタードが入った当たりのあげパンの行方。なぜかスイーツがらみの謎に巻き込まれがちな、小鳩君と小佐内さんの探偵行。「小佐…

神門ワンマントーク&ライブ

がっつり心ぶん回された。 神門ワンマントーク&ライブ at 東京カルチャーカルチャー 遂にマイヒップホップヒーローのライブに。 60分のトークと90分のライブを座りで好きに飲食しながら観るというディナーショーみたいな形式。 会場こんな感じ。天井高めの…

『FACTFULNESS(ファクトフルネス)』ハンス・ロスリング

意識の転換。 『FACTFULNESS(ファクトフルネス) 10の思い込みを乗り越え、データを基に世界を正しく見る習慣』 ハンス・ロスリング オーラ・ロスリング アンナ・ロスリング・ロンランド ここ数十年間、わたしは何千もの人々に、貧困、人口、教育、エネルギー…

『高校事変Ⅴ』松岡圭祐

他者と繋がる人間としての、迷いが覚悟に変わった物語。 『高校事変Ⅴ』松岡圭祐武蔵小杉高校事変で優莉結衣に救われた濱林澪はショックから不登校になっていた。編入の下見のため訪れた農業高校で教師たちの振る舞いに異常を感じた澪は結衣に助けを求める。…