2021-01-01から1年間の記事一覧

『いのちの停車場』南杏子

ラスト、ドキッとした。 『いのちの停車場』南杏子 東京の救命救急センターで働いていた、62歳の医師・咲和子は、故郷の金沢に戻り「まほろば診療所」で訪問診療医になる。「命を助ける」現場で戦ってきた咲和子にとって、「命を送る」現場は戸惑う事ばかり…

『その手をにぎりたい』柚木麻子

なんとはなしに読み始めたらすごく面白かった。 『その手をにぎりたい』柚木麻子 八十年代。都内で働いていた青子は、二十五歳で会社を辞め、栃木の実家へ帰る決意をする。その日、彼女は送別会をかね、上司に連れられて銀座の高級鮨店のカウンターに座って…

『犬がいた季節』伊吹有喜

久しぶりの伊吹有喜はやっぱりものすごかった。 『犬がいた季節』伊吹有喜 ある日、高校に迷い込んだ子犬。生徒と学校生活を送ってゆくなかで、その瞳に映ったものとは―。最後の共通一次。自分の全力をぶつけようと決心する。18の本気。鈴鹿でアイルトン・セ…

『相談の森』燃え殻

ちょっと読み始めたら手が止まらず一気読み。 『相談の森』燃え殻 人生相談の人気連載「燃え殻さんに聞いてみた。」待望の書籍化!悩みの一つ一つに、自身も迷いながら答えた「人生をなんとか乗りこなす方法」61篇。(Amazonより) 様々な悩みや相談に答えて…

『熱源』川越宗一

読み応え満パン。 『熱源』川越宗一 故郷を奪われ、生き方を変えられた。それでもアイヌがアイヌとして生きているうちに、やりとげなければならないことがある。北海道のさらに北に浮かぶ島、樺太(サハリン)。人を拒むような極寒の地で、時代に翻弄されなが…

『魯肉飯のさえずり』

読んでる最中も読み終わった後も魯肉飯食べたくなる。 『魯肉飯のさえずり』温又柔 ママがずっとわたしの恥部だった―「もしも、あたしが日本人ならと思う」就活に失敗し、逃げるように結婚を選んだ桃嘉。優しい台湾人の母に祝福されるも、理想だった夫に一つ…

『本屋さんのダイアナ』柚木麻子

子供も大人にも深く残る素晴らしい作品。 『本屋さんのダイアナ』柚木麻子 私の呪いを解けるのは、私だけ。「大穴」という名前、金色に染められたパサパサの髪、行方知れずの父親。自分の全てを否定していた孤独なダイアナに、本の世界と同級生の彩子だけが…

『愛されなくても別に』武田綾乃

新感覚だった。 『愛されなくても別に』 武田綾乃 時間も金も、家族も友人も贅沢品だ。「響け!ユーフォニアム」シリーズ著者が、息詰まる「現代」に風穴を開ける会心作!(Amazonより) 著者の作品を読んだことなかったけど、評判で気になって。 ここ数年は、…

『終点のあの子』柚木麻子

白でも黒でもない柚木麻子って感じ。 『終点のあの子』柚木麻子 プロテスタント系女子高の入学式。内部進学の希代子は、高校から入学した奥沢朱里に声をかけられた。海外暮らしが長い彼女の父は有名なカメラマン。風変わりな彼女が気になって仕方がないが、…

『暇と退屈の倫理学』國分功一郎

思ってたよりずっと面白かった。 『暇と退屈の倫理学 増補新版 (homo Viator)』國分功一郎 旧版『暇と退屈の倫理学』は、その主題に関わる基本的な問いを手つかずのままに残している。なぜ人は退屈するのか?―これがその問いに他ならない。増補新版では、人が…

『卵の緒』瀬尾まいこ

やっぱりこの人ものすごい。 『卵の緒』瀬尾まいこ 捨て子だと思っている小学校4年生の育生、妙ちきりんな母親、そのとぼけたボーイフレンド、不登校の同級生、血の繋がらない親子を軸に、「家族」を軽やかなタッチで描く。坊ちゃん文学賞大賞受賞作に書き下…

『なぎさ』山本文緒

言い表せないけど面白かった…。 『なぎさ』山本文緒 家事だけが取り柄の主婦、冬乃と、会社員の佐々井。同窓生夫婦二人は故郷長野を飛び出し、久里浜で静かに暮らしていた。佐々井は毎日妻の作る弁当を食べながら、出社せず釣り三昧。佐々井と行動を共にする…

『ナイルパーチの女子会』柚木麻子

期待していた世界観があった。 『ナイルパーチの女子会』柚木麻子 商社で働く志村栄利子は愛読していた主婦ブロガーの丸尾翔子と出会い意気投合。だが他人との距離感をうまくつかめない彼女をやがて翔子は拒否。執着する栄利子は悩みを相談した同僚の男と寝…

『花束みたいな恋をした』

最高だったな。 『花束みたいな恋をした』 「東京ラブストーリー」「最高の離婚」「カルテット」など数々のヒットドラマを手がけてきた坂元裕二のオリジナル脚本を菅田将暉と有村架純の主演で映画化。坂元脚本のドラマ「カルテット」の演出も手がけた、「罪…

『ドミノin上海』恩田陸

久しぶりのこの感じ。 『ドミノin上海』恩田陸 イグアナが料理されれば盗賊団が上海に押し寄せ、そこに無双の甘党が上陸。風水師が二色に塗り分けられ、ホラー映画の巨匠がむせび泣くと秘宝『蝙蝠』の争奪戦が始まった!革ジャンの美青年がカプチーノをオーダ…

『南方熊楠』唐澤太輔

この知らないことを学んでいく感覚、久しぶりだった。 『南方熊楠 -日本人の可能性の極限- 』唐澤太輔 百科事典を丸ごと暗記、二十以上の言語を解した、キューバ独立戦争参戦といった虚実さまざまな伝説に彩られ、民俗学、生物学などに幅広く業績を残した南…

『自転しながら公転する』山本文緒

文句なしの面白さだった。 『自転しながら公転する』山本文緒 東京で働いていた32歳の都は、親の看病のために実家に戻り、近所のモールで働き始めるが…。恋愛、家族の世話、そのうえ仕事もがんばるなんて、そんなの無理!誰もが心揺さぶられる、7年ぶりの傑作…

『ステージ・ドクター菜々子が熱くなる瞬間』南杏子

新たな医療ドラマを観た。 『ステージ・ドクター菜々子が熱くなる瞬間』南杏子 女医・菜々子が、市民会館のステージに立つ患者をサポート!「赤黒あげて、白とらない」末期癌のお笑い芸人が、人生最後の演芸会を企画。「屋根まで飛んで」白血病の少年が、音楽…

『メモの魔力』前田裕二

想像以上に奥深かった。 『メモの魔力』前田裕二 僕にとってメモとは、生き方そのものです。メモによって世界を知り、アイデアが生まれる。メモによって自分を知り、人生のコンパスを持つ。メモによって夢を持ち、熱が生まれる。その熱は確実に自らを動かし…

『人間』又吉直樹

こういう物語の感想をうまく表現できるようになりたい。 『人間』又吉直樹 僕達は人間をやるのが下手だ。38歳の誕生日に届いた、ある騒動の報せ。何者かになろうとあがいた季節の果てで、かつての若者達を待ち受けていたものとは?初の長編小説にして代表作、…

『「うまく」「はやく」書ける文章術』山口拓朗

個人的備忘録。 『「うまく」「はやく」書ける文章術』山口拓朗 読んだその日から実践できる!文章作成のプロが伝授する、超・文章力上達法。メール、ブログ、Facebook、メルマガ、論文、セールス文、社内レポート、企画書…あらゆる文章がスラスラ書ける5つの…

『チア男子!!』朝井リョウ

珍しく完全なる青春だった。 『チア男子!!』朝井リョウ 大学1年生の晴希は、道場の長男として幼い頃から柔道を続けてきた。だが、負けなしの姉と比べて自分の限界を悟っていた晴希は、怪我をきっかけに柔道部を退部する。同時期に部をやめた幼なじみの一馬に…

『四畳半タイムマシンブルース』森見登美彦

久しぶりのこの世界観。 『四畳半タイムマシンブルース』森見登美彦 炎熱地獄と化した真夏の京都で、学生アパートに唯一のエアコンが動かなくなった。妖怪のごとき悪友・小津が昨夜リモコンを水没させたのだ。残りの夏をどうやって過ごせというのか?「私」が…

『ランチのアッコちゃん』柚木麻子

こういう魅力あったんだ。 『ランチのアッコちゃん』柚木麻子 屈託を抱えるOLの三智子。彼女のランチタイムは一週間、有能な上司「アッコ女史」の指令のもとに置かれた。大手町までジョギングで行き、移動販売車の弁当を買ったり、美味しいカレー屋を急遽手…

『人を操る禁断の文章術』DaiGo

色んな文章うまくなりたいと思い。 感想ではなく自分のためのまとめ。 『人を操る禁断の文章術』DaiGo たった1行で、人は踊らされる。メール、企画書、LINEで使えるメンタリズムシリーズ最終兵器。(Amazonより) 人を動かす文章を書くための3ステップ 「書…

『フライ,ダディ,フライ』金城一紀

羨ましさと興奮。 『フライ,ダディ,フライ』金城一紀 私の夢―。娘の幸せ。何よりも。私の命よりも。自分には殊更なことは望んではいない。定年退職後に釣りでもおぼえ、可愛い孫たちに囲まれながら安穏な余生を過ごせれば、それでいい。あとは、妻とのんび…

『雨の中の涙のように』遠田潤子

新たな世界観。 『雨の中の涙のように』遠田潤子 ただ立っているだけで圧倒的なオーラを放つスター、堀尾葉介。アイドルグループ「RIDE」の一員として十四歳でデビュー。二十二歳のときに演技の勉強のためにアイドルの座を捨てる。地道に努力を続け、アクシ…

『ブラックウェルに憧れて』南杏子

フィクションだとは思っちゃいけないんだろうな。 『ブラックウェルに憧れて』南杏子 医大の解剖学実習で組まれたのは、異例ともいえる女性4人だけの班だった。城之内泰子教授の指導の下、優秀な成績で卒業した彼女たちは、真摯に医療の道を歩む。医学部不正…

『くちびるに歌を』中田永一

改めて知る面白さ。 『くちびるに歌を』中田永一 拝啓、十五年後の私へ。中学合唱コンクールを目指す彼らの手紙には、誰にも話せない秘密が書かれていた―。読後、かつてない幸福感が訪れる切なくピュアな青春小説。(Amazonより) 昔観たガッキー主演の映画…

私の勝負曲

並行して転載しているnoteの「#私の勝負曲」というテーマに合わせて。 人生で決断する時に聴いて自分を奮い立たせてくれた3曲。 画像は曲とは関係ないけど、系譜。 ①『27才のリアル』 狐火 福島出身の38歳のラッパーが十年前に出した曲。 ちょうど大学四年生…