『パラソルでパラシュート』一穂ミチ

これこそ現代の物語。 『パラソルでパラシュート』一穂ミチ 第165回直木賞ノミネートで話題をさらった『スモールワールズ』著者、感動の長編小説!「できること、やりたいこと」何もない――。大阪の一流企業の受付で契約社員として働く柳生美雨は、29歳になる…

『緑陰深きところ』遠田潤子

書けることなんてなにもないんだけども。 『緑陰深きところ』遠田潤子 業を背負う男たち、奇蹟のロードノベル 兄さん、今からあんたを殺しに行くよ――。大阪ミナミでカレー屋を営む三宅紘二郎のもとに、ある日一通の絵葉書が届いた。葉書に書かれた漢詩に、紘…

『縁』小野寺史宜

この人の作品は全てツボに入ってしまう。 『縁』小野寺史宜 人と人はつながっている。たとえ、どこの誰だか知らなくても。2019年本屋大賞第2位『ひと』の俊英、会心作!(Amazonより) 去年から著者の本を片っ端から読んでるけど、今作もドンピシャで好みだっ…

『ただいま神様当番』青山美智子

さすがの面白さ。 『ただいま神様当番』青山美智子 ある朝、目を覚ますと手首から腕にかけて「神様当番」と太くて大きな文字が書かれていた! 突如目の前に現れた「神様」を名乗るおじいさんのお願いを叶えないと、その文字は消えないようで……?「お当番さん、…

『星を掬う』町田そのこ

最高だった。 『星を掬う』町田そのこ 町田そのこ 2021年本屋大賞受賞後第1作目は、すれ違う母と娘の物語。 小学1年の時の夏休み、母と二人で旅をした。 その後、私は、母に捨てられた――。 ラジオ番組の賞金ほしさに、ある夏の思い出を投稿した千鶴。 …

『キネマの神様 ディレクターズカット』原田マハ

作り手たちの素敵な往復書簡。 『キネマの神様 ディレクターズカット』 原田マハ 『キネマの神様』映画化に際し山田洋次監督は自身の若き日を重ねて脚色。そのシナリオから著者が新たに生み出すもうひとつの物語。(Amazonより) 俺の初原田マハ作品は『キネ…

『君の顔では泣けない』君嶋彼方

感情がよくわからなくなる。 『君の顔では泣けない』 君嶋彼方 高校1年の坂平陸は、プールに一緒に落ちたことがきっかけで同級生の水村まなみと体が入れ替わってしまう。いつか元に戻ると信じ、入れ替わったことは二人だけの秘密にすると決めた陸だったが、…

『アロハで猟師、はじめました』近藤康太郎

想像していた何倍も深かった。 『アロハで猟師、はじめました』近藤康太郎 獣害に苦しむ近隣農家に乞われ始めた猟師生活。野蛮で暴力的だと思っていたその世界は、この社会から“ばっくれて生きる”ための知恵がたくさん詰まっていた。鴨を追いかけ、鹿を捌き…

『ニューヨークのとけない魔法』岡田光世

すごくいいシリーズと出会えた。 『ニューヨークのとけない魔法』岡田光世 世界一お節介で、図々しくておしゃべりで、孤独な人たち。でも、泣きたくなるほど温かい。ベストセラー「ニューヨークの魔法」シリーズ、第1弾! 東京と同じ孤独な大都会なのに、ニュ…

『ばにらさま』山本文緒

これからもずっと作品を読みたかった。 『ばにらさま』山本文緒 冴えない僕の初めての恋人は、バニラアイスみたいに白くて冷たい 日常の風景が一転! 思わず二度読み!痛くて、切なくて、引きずり込まれる……。6つの物語が照らしだす光と闇 島清恋愛文学賞、本…

『コロナの時代の僕ら』パオロ・ジョルダーノ

あとがきが特に好きだった。 『コロナの時代の僕ら』パオロ・ジョルダーノ 僕たちは、感染症の科学について何を知っている必要があり、今まさに訪れようとしている「コロナの時代」をどう生きるべきなのだろうか?200万部のベストセラーと物理学の博士号をも…

『ランチ酒』原田ひ香

早くテレビ東京でドラマ化してください。 『ランチ酒』原田ひ香 犬森祥子の職業は「見守り屋」だ。営業時間は夜から朝まで。ワケありの客から依頼が入ると、人やペットなど、とにかく頼まれたものを寝ずの番で見守る。そんな祥子の唯一の贅沢は、仕事を終え…

『この話、続けてもいいですか。』西加奈子

読み初めはこれ。 『この話、続けてもいいですか。』西加奈子 テヘランで生まれカイロと大阪で育った著者が、小説の舞台となった大阪のこと、いろんな人との関わり、日々の生活で思ったこと、こだわること、などを縦横無尽に語る。『ミッキーかしまし』『ミ…

2021年読書ベスト

毎年恒例年末総決算。 今年は現時点で158冊読了。自宅待機期間とかもあり過去最多。 ちなみに昨年はこんな感じ。 sunmontoc.hatenablog.com 今年は全18作品。1〜12は小説、13〜17はエッセイやノンフィクション、18はシリーズもの。 作家ごとに一冊、ランキン…

『万事快調(オール・グリーンズ)』波木銅

若さゆえの青臭さと勢いを凝縮した最高のエンタメ。 『万事快調(オール・グリーンズ)』波木銅 満場一致で第28回松本清張賞を受賞時代の閉塞感も、小説のセオリーも、すべて蹴散らす、弱冠21歳の現役大学生による破格のデビュー作このクソ田舎とおさらばす…

『ナナメの夕暮れ』若林正恭

人生のバイブルをもう一度。 『ナナメの夕暮れ』若林正恭 オードリー若林の6年間の集大成エッセイ 「おじさん」になって世界を肯定できるようになるまで書き下ろし17,000字!「明日のナナメの夕暮れ」収録恥ずかしくてスタバで「グランデ」を頼めない。ゴルフ…

『夜が明ける』西加奈子

読むのずっと楽しみにしてた。 『夜が明ける』西加奈子 直木賞受賞作『サラバ』から7年、本屋大賞第7位『i』から5年。西加奈子が悩み苦しみ抜き、全力で書き尽くした渾身の作品『夜が明ける』が、10月20日、ついに刊行。「当事者ではない自分が書いていいの…

『おまえなんかに会いたくない』乾ルカ

読み終わってもずっと心に残るものがある。 『おまえなんかに会いたくない』乾ルカ 北海道道立白麗高校・第二十七期卒業生3年6組の元クラスメートたちに、校庭に埋めたタイムカプセルの開封を兼ねて同窓会を開催するはがきが届いた。同窓会SNSも立ち上がり、…

『ぼくはイエローでホワイトでちょっとブルー2』ブレイディみかこ

ずっとこの子の成長を見ていたくなる。 『ぼくはイエローでホワイトでちょっとブルー2』ブレイディみかこ 「ぼく」は13歳になった。そして親離れの季節が――。80万人が読んだ「一生モノの課題図書」、ついに完結。13歳になった「ぼく」の日常は、今日も騒がし…

『パリの国連で夢を食う。』川内有緒

この年齢、このタイミングで読めてよかった。 『パリの国連で夢を食う。』川内有緒 チャンスを掴んだのは31歳の時。2年前に応募した国連から突然書類審査に合格との知らせが舞い込んだ。2000倍の倍率を勝ち抜き、いざパリへ。世界一のお役所のガチガチな官僚…

『硝子の塔の殺人』知念実希人

完膚無きまでの満足感。 『硝子の塔の殺人』知念実希人 500ページ、一気読み!知念実希人の新たな代表作誕生作家デビュー10年 実業之日本社創業125年 記念作品雪深き森で、燦然と輝く、硝子の塔。地上11階、地下1階、唯一無二の美しく巨大な尖塔だ。ミステリ…

『ワラグル』浜口倫太郎

まんまとやられたな。 『ワラグル』浜口倫太郎 漫才師が挑む笑いと涙と戦慄の起死回生物語崖っぷちの中堅漫才コンビ、リンゴサーカスのボケ担当、加瀬凛太は、冬の寒空の下、絶望していた。年末の漫才日本一を決めるKOM(キングオブ漫才の略)敗者復活戦で敗れ…

『あの夏の正解』早見和真

面白すぎて一気読み。 『あの夏の正解』早見和真 「Yahoo! ニュース|本屋大賞 2021年ノンフィクション本大賞」ノミネート作品! コロナ禍で甲子園が中止になった夏。夢を奪われた選手と指導者はどう行動したのか。 「このまま終わっちゃうの」?2020年、愛媛の…

『蘇る変態』星野源

若林正恭に通じるものをしっかり感じる。 『蘇る変態』星野源 “ものづくり地獄”の音楽制作、俳優業の舞台裏から、エロ妄想で乗り越えた闘病生活まで。突然の病に倒れ、死の淵から復活した著者の怒涛の3年間。(Amazonより) 『いのちの車窓から』は読んだこ…

『妄想銀行』星新一

遅ればせまして。 『妄想銀行』星新一 人間のさまざまな妄想を取り扱うエフ博士の銀行は大繁盛。男子学生が抱く艶めかしい願望を預かり、反省のない被告に悩む弁護士に罪悪感を販売する。博士は順調に業務を遂行していたが――。現代社会への皮肉が効いた表題…

『合唱 岬洋介の帰還』中山七里

こんなてんこ盛りズルすぎる。 『合唱 岬洋介の帰還』中山七里 幼稚園で幼児らを惨殺した直後、自らに覚醒剤を注射した“平成最悪の凶悪犯"仙街不比等。彼の担当検事になった天生は、刑法第39条によって仙街に無罪判決が下ることを恐れ、検事調べで仙街の殺意…

『普通のサラリーマン、ラジオパーソナリティになる』佐久間宣行

開始数ヶ月聴いてなかったことが本当に悔しい。 『普通のサラリーマン、ラジオパーソナリティになる~佐久間宣行のオールナイトニッポン0(ZERO)2019-2021~』佐久間宣行 2019年3月、テレビ東京のプロデューサー・佐久間宣行が、深夜のラジオ番組『オールナイト…

『発注いただきました!』朝井リョウ

力見せつけられた。 『発注いただきました!』朝井リョウ 『桐島、部活やめるってよ』でのデビューから十年。森永製菓、ディオール、JT、JRA、アサヒビール、サッポロビール、資生堂、JA共済など、様々な企業からの原稿依頼があった。原稿枚数や登場人物、物…

『ひと』小野寺史宜

確信に変わった一冊。 『ひと』小野寺史宜 たった一人になった。でも、ひとりきりじゃなかった。両親を亡くし、大学をやめた二十歳の秋。見えなくなった未来に光が射したのは、コロッケを一個、譲った時だった――。激しく胸を打つ、青さ弾ける傑作青春小説!(…

『52ヘルツのクジラたち』町田その子

遅ればせながらももちろんこれも良かった。 『52ヘルツのクジラたち』町田その子 「わたしは、あんたの誰にも届かない52ヘルツの声を聴くよ」自分の人生を家族に搾取されてきた女性・貴瑚と、母に虐待され「ムシ」と呼ばれていた少年。孤独ゆえ愛を欲し、裏…