『スモールワールズ』一穂ミチ

新たな世界と出会えた気がする。 『スモールワールズ』一穂ミチ 夫婦円満を装う主婦と、家庭に恵まれない少年。「秘密」を抱えて出戻ってきた姉とふたたび暮らす高校生の弟。初孫の誕生に喜ぶ祖母と娘家族。人知れず手紙を交わしつづける男と女。向き合うこ…

『夜空に泳ぐチョコレートグラミー』町田その子

鮮烈だった。 『夜空に泳ぐチョコレートグラミー』町田その子 思いがけないきっかけでよみがえる一生に一度の恋。そしてともには生きられなかったあの人のこと――。 大胆な仕掛けを選考委員の三浦しをん氏辻村深月氏両名に絶賛されたR-18文学賞大賞受 賞のデ…

『バッテリー』あさのあつこ

面白すぎて速攻シリーズ読破。 『バッテリー』シリーズ あさのあつこ 「そうだ、本気になれよ。本気で向かってこい。―関係ないこと全部捨てて、おれの球だけを見ろよ」中学入学を目前に控えた春休み、岡山県境の地方都市、新田に引っ越してきた原田巧。天才…

『正欲』朝井リョウ

もうあとには引けない。 『正欲』朝井リョウ あってはならない感情なんて、この世にない。それはつまり、いてはいけない人間なんて、この世にいないということだ。息子が不登校になった検事・啓喜。初めての恋に気づいた女子大生・八重子。ひとつの秘密を抱…

『デートクレンジング』柚木麻子

アイドル小説って無条件に惹かれるよね。 『デートクレンジング』柚木麻子 「私にはもう時間がないの」 女を焦らせる見えない時計を壊してしまえたらいいのに。 喫茶店で働く佐知子には、アイドルグループ「デートクレンジング」のマネージャーをする実花と…

『毒島刑事最後の事件』中山七里

この中毒性と快感を待っていた。 『毒島刑事最後の事件』中山七里 刑事・毒島は警視庁随一の検挙率を誇るが、出世には興味がない。一を話せば二十を返す饒舌で、仲間内でも煙たがられている。そんな異色の名刑事が、今日も巧みな心理戦で犯人を追い詰める。…

『エンド・オブ・ライフ』佐々涼子

これも一生本棚入り。 『エンド・オブ・ライフ』佐々涼子 「死ぬ前に家族と潮干狩りに行きたい…」患者の最期の望みを献身的に叶えていく医師と看護師たち。最期を迎える人と、そこに寄り添う人たちの姿を通して、終末期のあり方を考えるノンフィクション。(…

『臨床の砦』夏川草介

一口に面白いとは言えないけれども。 『臨床の砦』夏川草介 緊急出版!「神様のカルテ」著者、最新作。「この戦、負けますね」 敷島寛治は、コロナ診療の最前線に立つ信濃山病院の内科医である。一年近くコロナ診療を続けてきたが、令和二年年末から目に見え…

『春、戻る』瀬尾まいこ

じんわり大切なことを教えてくれる。 『春、戻る』瀬尾まいこ 結婚を控えたさくらの前に、兄を名乗る青年が突然現れた。どう見ても一回りは年下の彼は、さくらのことをよく知っている。どこか憎めない空気を持つその“おにいさん”は、結婚相手が実家で営む和…

『9月9日9時9分』一木けい

この全部が爽やかに終わらない読後感が癖になる。 『9月9日9時9分』一木けい 愛される快感と、「人」を想う難しさ――。バンコクからの帰国子女である高校1年生の漣は、日本の生活に馴染むことができないでいた。そんななか、高校の渡り廊下で見つけた先輩に…

『国道食堂 1st season』小路幸也

やっぱこの人の作品はかけがえのない読書体験。 『国道食堂 1st season』小路幸也 お店の中にプロレスのリング?ちょっと田舎にあるけれど何を食べても美味しい食堂“ルート517”。そんな、ちょっと変わった店に通う人々の様々なドラマ。(Amazonより) 田舎の…

『いのちの停車場』南杏子

ラスト、ドキッとした。 『いのちの停車場』南杏子 東京の救命救急センターで働いていた、62歳の医師・咲和子は、故郷の金沢に戻り「まほろば診療所」で訪問診療医になる。「命を助ける」現場で戦ってきた咲和子にとって、「命を送る」現場は戸惑う事ばかり…

『その手をにぎりたい』柚木麻子

なんとはなしに読み始めたらすごく面白かった。 『その手をにぎりたい』柚木麻子 八十年代。都内で働いていた青子は、二十五歳で会社を辞め、栃木の実家へ帰る決意をする。その日、彼女は送別会をかね、上司に連れられて銀座の高級鮨店のカウンターに座って…

『犬がいた季節』伊吹有喜

久しぶりの伊吹有喜はやっぱりものすごかった。 『犬がいた季節』伊吹有喜 ある日、高校に迷い込んだ子犬。生徒と学校生活を送ってゆくなかで、その瞳に映ったものとは―。最後の共通一次。自分の全力をぶつけようと決心する。18の本気。鈴鹿でアイルトン・セ…

『相談の森』燃え殻

ちょっと読み始めたら手が止まらず一気読み。 『相談の森』燃え殻 人生相談の人気連載「燃え殻さんに聞いてみた。」待望の書籍化!悩みの一つ一つに、自身も迷いながら答えた「人生をなんとか乗りこなす方法」61篇。(Amazonより) 様々な悩みや相談に答えて…

『熱源』川越宗一

読み応え満パン。 『熱源』川越宗一 故郷を奪われ、生き方を変えられた。それでもアイヌがアイヌとして生きているうちに、やりとげなければならないことがある。北海道のさらに北に浮かぶ島、樺太(サハリン)。人を拒むような極寒の地で、時代に翻弄されなが…

『魯肉飯のさえずり』

読んでる最中も読み終わった後も魯肉飯食べたくなる。 『魯肉飯のさえずり』温又柔 ママがずっとわたしの恥部だった―「もしも、あたしが日本人ならと思う」就活に失敗し、逃げるように結婚を選んだ桃嘉。優しい台湾人の母に祝福されるも、理想だった夫に一つ…

『本屋さんのダイアナ』柚木麻子

子供も大人にも深く残る素晴らしい作品。 『本屋さんのダイアナ』柚木麻子 私の呪いを解けるのは、私だけ。「大穴」という名前、金色に染められたパサパサの髪、行方知れずの父親。自分の全てを否定していた孤独なダイアナに、本の世界と同級生の彩子だけが…

『愛されなくても別に』武田綾乃

新感覚だった。 『愛されなくても別に』 武田綾乃 時間も金も、家族も友人も贅沢品だ。「響け!ユーフォニアム」シリーズ著者が、息詰まる「現代」に風穴を開ける会心作!(Amazonより) 著者の作品を読んだことなかったけど、評判で気になって。 ここ数年は、…

『終点のあの子』柚木麻子

白でも黒でもない柚木麻子って感じ。 『終点のあの子』柚木麻子 プロテスタント系女子高の入学式。内部進学の希代子は、高校から入学した奥沢朱里に声をかけられた。海外暮らしが長い彼女の父は有名なカメラマン。風変わりな彼女が気になって仕方がないが、…

『暇と退屈の倫理学』國分功一郎

思ってたよりずっと面白かった。 『暇と退屈の倫理学 増補新版 (homo Viator)』國分功一郎 旧版『暇と退屈の倫理学』は、その主題に関わる基本的な問いを手つかずのままに残している。なぜ人は退屈するのか?―これがその問いに他ならない。増補新版では、人が…

『卵の緒』瀬尾まいこ

やっぱりこの人ものすごい。 『卵の緒』瀬尾まいこ 捨て子だと思っている小学校4年生の育生、妙ちきりんな母親、そのとぼけたボーイフレンド、不登校の同級生、血の繋がらない親子を軸に、「家族」を軽やかなタッチで描く。坊ちゃん文学賞大賞受賞作に書き下…

『なぎさ』山本文緒

言い表せないけど面白かった…。 『なぎさ』山本文緒 家事だけが取り柄の主婦、冬乃と、会社員の佐々井。同窓生夫婦二人は故郷長野を飛び出し、久里浜で静かに暮らしていた。佐々井は毎日妻の作る弁当を食べながら、出社せず釣り三昧。佐々井と行動を共にする…

『ドミノin上海』恩田陸

久しぶりのこの感じ。 『ドミノin上海』恩田陸 イグアナが料理されれば盗賊団が上海に押し寄せ、そこに無双の甘党が上陸。風水師が二色に塗り分けられ、ホラー映画の巨匠がむせび泣くと秘宝『蝙蝠』の争奪戦が始まった!革ジャンの美青年がカプチーノをオーダ…

『南方熊楠』唐澤太輔

この知らないことを学んでいく感覚、久しぶりだった。 『南方熊楠 -日本人の可能性の極限- 』唐澤太輔 百科事典を丸ごと暗記、二十以上の言語を解した、キューバ独立戦争参戦といった虚実さまざまな伝説に彩られ、民俗学、生物学などに幅広く業績を残した南…

『自転しながら公転する』山本文緒

文句なしの面白さだった。 『自転しながら公転する』山本文緒 東京で働いていた32歳の都は、親の看病のために実家に戻り、近所のモールで働き始めるが…。恋愛、家族の世話、そのうえ仕事もがんばるなんて、そんなの無理!誰もが心揺さぶられる、7年ぶりの傑作…

『ステージ・ドクター菜々子が熱くなる瞬間』南杏子

新たな医療ドラマを観た。 『ステージ・ドクター菜々子が熱くなる瞬間』南杏子 女医・菜々子が、市民会館のステージに立つ患者をサポート!「赤黒あげて、白とらない」末期癌のお笑い芸人が、人生最後の演芸会を企画。「屋根まで飛んで」白血病の少年が、音楽…

『メモの魔力』前田裕二

想像以上に奥深かった。 『メモの魔力』前田裕二 僕にとってメモとは、生き方そのものです。メモによって世界を知り、アイデアが生まれる。メモによって自分を知り、人生のコンパスを持つ。メモによって夢を持ち、熱が生まれる。その熱は確実に自らを動かし…

『「うまく」「はやく」書ける文章術』山口拓朗

個人的備忘録。 『「うまく」「はやく」書ける文章術』山口拓朗 読んだその日から実践できる!文章作成のプロが伝授する、超・文章力上達法。メール、ブログ、Facebook、メルマガ、論文、セールス文、社内レポート、企画書…あらゆる文章がスラスラ書ける5つの…

『チア男子!!』朝井リョウ

珍しく完全なる青春だった。 『チア男子!!』朝井リョウ 大学1年生の晴希は、道場の長男として幼い頃から柔道を続けてきた。だが、負けなしの姉と比べて自分の限界を悟っていた晴希は、怪我をきっかけに柔道部を退部する。同時期に部をやめた幼なじみの一馬に…